『新しい「古典」を読む 1』
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ISBN:B0FFTNZCFN
忘れられた名作たちに新たな光を当てる、異色の文芸評論集
極東ブログで20年以上にわたって独自の視点を発信し続けてきたfinalventが、Webマガジン「cakes」で展開した話題の連載がついに書籍化。文学の正典から外れた作品群に独自の解釈を加え、現代の読者に新たな読書体験を提案する意欲作である。
なぜ「新しい古典」なのか?
文学史の表舞台から消え去った作品、批評家たちに見過ごされてきた小説、時代の変遷とともに忘却の彼方に追いやられた「古典」たち——。本書は、そうした作品群を現代の視点から再読し、そこに潜む普遍的な価値と現代的意義を発見する試みである。
人生を「考える」ことから生まれる、新たな古典読解
著者の膨大な読書量と博覧強記ぶりに裏打ちされた古典教養への深い理解は、まさにリベラルアーツを体現したものである。しかし、本書の真価は単なる知識の披露にあるのではない。人生の中で生じる様々な課題について「考える」ことを通して得てきた人生に対する実感、生の価値、愛への信頼といったものを、作品から汲み取ることにある。
著者は文学作品を単なる分析対象としてではなく、人間存在の根源的な問いと向き合うための鏡として捉える。そして、その問いに対する答えを、作品の真の価値として受け取り、さらにクリエイティブに拡張していくのである。
生きた古典との対話
著者の博覧強記ぶりは圧巻で、古今東西の文献を縦横無尽に引用しながら、独自の読解を展開する。しかし、その筆致は決して衒学的ではなく、むしろ自身の「奇妙な照れと胡散臭さ」を率直に開示する、誠実で親しみやすい文体が魅力である。評論の技工に走るのではなく、作品と真摯に向き合い、そこから人生の智恵を汲み取ろうとする姿勢こそが、本書を他の文芸評論から際立たせている。
アルファブロガーが贈る、新時代の読書論
2000年代初頭から日本のブログ界を牽引してきた著者ならではの、インターネット時代における読書の意味についての洞察も随所に散りばめられている。情報が氾濫する現代だからこそ、じっくりと古典と向き合うことの意義を問い直す。
「文学者や現代思想家の名前が喧伝されるときの、称賛の裏にある、没落した亡者たちの嫉妬の凡庸さの情念のほうに、むしろ真理のようなものがあるんじゃないのか」
本書は既存の文学的権威に対する健全な懐疑の精神に満ちている。
こんな読者におすすめ
読書好き - 新たな読書体験を求める方
文学愛好者 - 既知の作品に新たな解釈を求める方
評論愛読者 - 独創的な文芸批評を楽しみたい方
思想・哲学に関心のある方 - 文学的アプローチで思想を学びたい方
ブログ読者 - 極東ブログの長年のファン
収録内容
序文をはじめとする著者による書き下ろしも収録。連載時よりパワーアップした増補版となっている。
【目次】
序 『新しい「古典」を読む』ことの始まり
1章 偉人と俗物——なだいなだ『TN君の伝記』
2章 人間はこの地球上でどのように生きて来たのか?——ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』
3章 青春を救う愛の祝福——高橋留美子『めぞん一刻』
4章 名著に隠された絶望と光——ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』
5章 青春における性のおののき——畑正憲『ムツゴロウの青春記』
6章 ファインマンの抱えた地獄とユーモア——リチャード・P・ファインマン『ご冗談でしょう、ファインマンさん』
7章 女が歴史とつながるとき——林真理子『ワンス・ア・イヤー』
8章 凍結した魂の彷徨——向田邦子『思い出トランプ』
9章 生を照らす汚辱の輝き——渡辺淳一『無影燈』
10章 サブカルチャーにひそむねじれ——椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』
11章 センゼンの若者たち——五木寛之『風に吹かれて』
12章 人生の豊かさとは——渡部昇一『知的生活の方法』
13章 村上春樹の読み方(1)——『風の歌を聴け』
14章 村上春樹の読み方(2)——『1973年のピンボール』
15章 村上春樹の読み方(3)——『羊をめぐる冒険』
16章 村上春樹の読み方(4)——『ダンス・ダンス・ダンス』
17章 村上春樹の読み方・特別編——『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
シリーズ構成について
本書は「cakes」での長期連載を完全収録した全4巻の第1巻である。著者自身が「全部のなかに伝えたかったことがある」と語るように、シリーズ全体を通読することで、その真価を味わうことができる。
文学への愛と懐疑、知的好奇心と自己言及的な諧謔——。現代日本を代表するブロガーが贈る、まったく新しい文芸評論の誕生である。
著者について:finalvent(ファイナルベント)。2003年より「極東ブログ」を運営。日本のアルファブロガーの草分け的存在として、政治・社会・文化について独自の視点で発信を続ける。著書に『考える生き方』がある。